トロワ・ゼロ～サッカー狂時代

フロリ・メロジス。刑務所の庭でのサッカー試合。一人の若者がボールを使い奇跡のプレーをする。狙った場所にボールを持っていき敵を分裂させるのだ。つまりはサッカーの天才。その名はチボル・コヴァチ、ハンガリー人でフランスチームでのプレーを夢見る。
独房仲間のマニュにとっては、チボルは天からの贈り物だ。長いこと彼は、多くのものがスターとなっっていく中で自分は働きアリ、という苦痛に耐えつつ、サッカー界でうだうだしている。
二人とも微罪で刑務所入りとなった。二人の出所前日、マニュは運命を共にしようとチボルを説得する。チボルは世界一のプレーヤーとなり、マニュが彼のエージェントになるのだ。
アルパジョンのマニュがよく行くピザ屋の主人、断定的なアンジェロ。エージェントになる方法は一つのみ。国際サッカー界の古い伝説、ブラジルで早めの引退生活を送るムッシュー・コロナを呼び戻すこと。そこで大きすぎるスーツに身を包み、真新しいアタッシュケースを小脇に抱えたマニュは、伝説的エージェントのカムバックを説得するためにコパカバーナに向かう。
意外なことに、目的は達成する。 コロナはアルパジョンに戻り、興奮の中アンジェロの妻となった妹のシルヴィと再会する。彼女がゴールキーパー兼トレーナー兼会長のアルパジョン・インゲンマメ女性サッカーチームは守備が今ひとつ悪く、サッカー漬けの妻に疲れた夫達の怒りの視線を受けつつ各県対抗選手権の最下位をもたついている。
3人のヒーローが現代サッカー界に殴り込みをかけるが、決して歓迎はされない。
彼らのねらいの一人は手ごわい強力な仲介役のオスカー・マルベロ、パリ・サンジェルマンの移籍関係すべてを牛耳る彼の貪欲さはチボルの比類ない才能を見たとたん、すぐに目覚める。クラブの会長がマスコミのアイドルと化したプレーヤーの気まぐれに屈服し、移籍は偽造パスポートとレトロなマージンの威力でアレンジされ、スポーツの至上命令は広告契約や「健康回復」プログラム、投資利益率の中で堕落する世界。
それがサッカービジネスの世界。そこへ我らが三人は立ち向かっていく、そのやり方はそれほどアマチュアでもないようで…。