イザベル・アジャーニの惑い

美貌の伯爵夫人エレノールは、12歳も年下の美しく有望な青年アドルフと恋に落ちる。悲劇と知りつつ狂おしい灼熱の恋にひた走るエレノール。19世紀、緑滴るフランスの郊外から雪深いポーランドへ。魅惑の二都市を舞台に瑞々しい映像美で飾る恋物語。フランス近代心理小説の最高傑作を、イザベル・アジャーニが自ら企画し映画化した文芸大作。

19世紀フランス。22歳で大学を卒業したアドルフ(スタニスラス・メラール)は、ある小さな町で、伯爵(ジャン・ヤンヌ)と知り合った。彼はポーランド生まれの美しい婦人エレノール(イザベル・アジャーニ)を家に囲っており、2人の子供もいる。エレノールに一目惚れしたアドルフは、彼女を誘惑しようと試みた。10歳年上のエレノールは彼の求愛に戸惑うばかり。しかし頻繁に会っているうちに、2人は激しい恋に落ちる。だがまもなく、伯爵が彼らの仲を疑い始める。そんな危険を顧みず感情を燃え上がらせるエレノールを、アドルフはだんだん疎ましく思い始めた。エレノールを侮辱したダルビニー氏(ジャン=ルイ・リシャール)との決闘に勝利したアドルフは、その3カ月後に実家へ戻ってしまう。伯爵と別れたエレノールはアドルフのあとを追った。到着した彼女を迎えたアドルフは喜んでいるふりをするが、エレノールはそれを見抜く。二人は気持ちのすれ違いを抱えたまま旅に出る。エレノールの父親が死んだという知らせを受けてポーランドへ行くが、まもなくエレノールは重い病の床に伏した。そしてアドルフの腕の中で静かに息を引き取るのだった。


映画情報

邦題:イザベル・アジャーニの惑い
原題:Adolphe

監督:ブノワ・ジャコ
出演:イザベル・アジャーニ、スタニスラス・メラール

2002年/102分/フランス
配給:ザナドゥー=エレファント・ピクチャー
2004年7月3日公開
フランス映画祭公開タイトル:アドルフ(原題)