髭を剃る男

マークはアニエスに尋ねる。「口ひげを剃ったら何て言う?」。分からないわ、口ひげを生やしたあなたを愛していて、口ひげのないあなたは知らないもの。アニエスは一瞬買い物に出かけ、浴室の鏡の前に夫を一人残す。そしてマークは口ひげを剃る。なんてことはなしに。これは遊びだ、アニエスはどんな顔をするだろう?幸せで特に問題のない二人の生活に少々変化をもたらしてやろうじゃないか。
彼女は帰宅し、なにも言わない。おかしなことに、本当に何も気づいてない様子なのだ。友人も、翌日の職場の同僚も同様に気が付いていない。
マークは万人に対してただ一人、昨日まで自分が口ひげを生やしていたことを確信して、ただ一人自分の写真に口ひげを確認する。何かをただ一人、他の皆に反対して信じ、見て、思い出したりするのは狂人扱いされてしまう。一体どういうことだ?集団で茶番劇をやらかそうというのか、それとも陰謀だろうか。


映画情報

邦題:髭を剃る男
原題:La Moustache

監督:エマニュエル・カレール
出演:ヴァンサン・ランドン、エマニュエル・ドゥヴォス、マチュー・アマルリック

2005年/86分/フランス