カブールのツバメ

ロビーのInstagramスポットにて ザブー・ブライトマン監督(左)とエレア・ゴベ・メヴェレック監督(右)

 
カブールのツバメ』上映後Q&Aレポート

上映日:2019年6月21日(金)17:15~
ゲスト:ザブー・ブライトマン(監督)/エレア・ゴベ・メヴェレック(監督)
MC:佐藤久理子
通訳:田中映美

6月21日(金)イオンシネマみなとみらいにて、『カブールのツバメ』上映後にザブー・ブライトマン監督とエレア・ゴベ・メヴェレック監督によるQ&Aが開催された。

『カブールのツバメ』は、タリバン政権下のアフガニスタンのカブールで自由を求めて生きるカップルが直面する悲劇を綴った小説を基にしている。時代背景やヒロインのキャラクター像に、ブライトマン監督とメヴェレック監督が独自の視点を加えて映画化したという。

ブライトマン監督に本作の企画のオファーがあった際には、既に20本ほどシナリオの候補があり、その中からメヴェレック監督の描いた絵やシナリオを選出。それを下敷きにブライトマン監督がさらに手直しを加えて製作したというが、そこからはいわゆる一般的なアニメの手法とは、むしろ“逆”ともいえる特殊な手順が採用されたことが、監督から明かされた。

製作にあたり、まず初めに声優のキャスティングを行い、およそ4日間かけて音撮りを実施。その音声をもとにメヴェレック監督が水彩画を描き、その絵にパソコン上で一つ一つ動きをつけていくことで、最終的にアニメに落とし込む、という手法が取られたというのだ。

実写やSFXではなく、あえてアニメーションを選んだ理由についてブライトマン監督は「幼い頃からアニメーションにはとても興味があり、かつて声優をしていたこともある」と明かし、「アニメには“子ども向け”以外にも、“本質的なものを正しく伝える”という可能性が秘められている」と話していた。

カブールのツバメ

ザブー・ブライトマン監督

 
また、時代設定を原作の2001年から1998年に変えた理由については、「フランス人にとってエポックメイキングともいえるのは、ワールドカップが開催された1998年」であり、それを踏まえて「ジダン選手とジョルカエフ選手の活躍も劇中のラジオ放送で紹介した」と説明していた。

一方、メヴェレック監督は「自分がいままで知らなかったことを映画を通して描くことは、たとえそこにメッセージ性が含まれていなかったとしても、とても大切なこと」としながらも、「カブールは15年以上経った現在も、当時と同じような状況下にある。そういった辛い現実を人々が忘れさらないようにとの思いも込めて、一人一人のキャラクターを生み出していった」と解説。さらに「アニメーションにすることで、辛い弾圧の場面であっても観客が客観性を持って受け止めることが出来るのではないかと考えた」と製作意図についても語っていた。

カブールのツバメ

エレア・ゴベ・メヴェレック監督

 
なお、ブライトマン監督が手掛けた初の長編映画『記憶の森』は、2002年のフランス映画祭で上映されたことから、会場には「前作も横浜で観た」というファンも多く駆けつけた。
 
カブールのツバメ

サイン会後にボランティスタッフと語らう二人