スクールズ・アウト

Q&Aの様子

 
スクールズ・アウト』上映後Q&Aレポート

上映日:2019年6月22日(土)20:40
ゲスト:セバスチャン・マルニエ(監督)/キャロリーヌ・ボンマルシャン(プロデューサー)
MC:佐藤久理子
通訳:東慶子

6月22日(土)イオンシネマみなとみらいにて『スクールズ・アウト』上映後に、セバスチャン・マルニエ監督とプロデューサーのキャロリーヌ・ボンマルシャン氏によるQ&Aが行われた。

『スクールズ・アウト』は、フランスの名門中学を舞台にした学園ミステリー。ある日の授業中、生徒の前で担任教師が飛び降り自殺を図るという衝撃的な事件が発生。臨時講師として新しく赴任したピエールが、6人の生徒があまりにも事件に無関心なことに気付き、やがて彼らの企てに翻弄させられていく……。

冒頭では、マルニエ監督が2002年に同名の原作小説と出会い、映画化したいと長年企画を温め続けていたこと。前作の『欲しがる女』でプロデューサーのボンマルシャン氏と出会い、15年越しの夢が叶ったことなど、本作の映画化までの経緯や原作に惹かれた理由が監督から直接語られた。

スクールズ・アウト

セバスチャン・マルニエ監督

 
マルニエ監督は「なぜ15年もの間、この作品の映画化への思いを持ち続けられたのか」を考えながら脚本を執筆していたという。本作のテーマは「思春期の子どもたちが世界に対して持っている恐れ」といった普遍的なものであるとしながらも「15年経ったことで状況が変わった世界を反映させて、設定を書き加えている。すべてのエピソードが原作どおりというわけではない」と断りを入れていた。

なかでも生徒たちがパティ・スミスの曲を合唱するシーンは映画オリジナルだという。その理由について「普段なかなか自分の感情を表現できない子どもたちが、音楽という芸術を通じて抑圧された感情を解放できることを伝えたかった」と説明。さらに「教会であえて政治的メッセージのあるロック調の曲を子どもたちが合唱する、という意外性を取り入れた」と演出意図を明かした。

『スクールズ・アウト』では劇中、生徒たちがテロ対策の訓練をする様子も描かれる。監督は「キャスティングを行ったのがちょうど2年前、当時パリではテロ事件が起きたばかりでした。面接の際、子どもたちに「世界をどう見ているか」と訊ねたところ、最初に出てきたのが“テロに対する恐怖”でした」と、より現実的な要素を描いていることについても言及。

また、本作の類似作品として、プロデューサーのボンマルシャン氏は「‟思春期の子どもの恐れ“を描いた作品としては、過去にもジョン・カーペンター監督の『光る眼』やミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』といった作品がある」と解説。さらにマルニエ監督も「世界の終わりや世紀末感を描いた作品」として、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』とジェフ・ニコルズ監督の『テイク・シェルター』も意識した」と補足した。

スクールズ・アウト

キャロリーヌ・ボンマルシャン(プロデューサー)

 
劇中、臨時講師役のピエールが身体にタトゥーを入れていたことに絡めて、「フランスでは学校の先生が刺青を入れてるのは一般的なことなのか?」という観客から質問に対し、自身も腕にタトゥーを入れているマルニエ監督は「私にとってタトゥーはずっと前から身近なものなので…」と答えに窮しつつも、「ただ、今回日本に来てみて一つ残念だったのが、タトゥーがあるとお風呂(温泉)に入れないということ。私には理由がわかりませんが…」と告白し、会場の笑いを誘っていた。
 
⇒制作の経緯など詳細は『スクールズ・アウト』マスタークラスレポートへ
 
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