社会の片隅で

ルイ=ジュリアン・プティ監督と、林文子市長

 
『社会の片隅で』上映後Q&Aレポート

上映日:2019年6月22日(土)12:30
ゲスト:ルイ=ジュリアン・プティ(監督)
MC:矢田部吉彦
通訳:田中映美

6月22日(土)イオンシネマみなとみらいにて『社会の片隅で』上映後に、ルイ=ジュリアン・プティ監督によるQ&Aが行われた。
『社会の片隅で』は、行政の決定により閉鎖が決まったホームレスシェルター(ホームレスたちの緊急避難所)を舞台に、そこで働くソーシャルワーカーたちが、入居者のホームレスの人々を、なんとか社会復帰させようと奮闘する姿を描いている。

これが4作目の長編映画となる監督のルイ=ジュリアン・プティは初めての来日。どういう経緯で本作を作ったのかを問われると、「本作はクレア・ラジュニーさんという方が作ったテレビドキュメンタリーを原案としています。そのクレアさんから、これを映画にしてみないか?と打診を受けて私が監督をすることになりました」と明かした。

社会の片隅で

Q&Aの様子

 
「本作にはプロの俳優ではないホームレス経験のある女性たちが出演しています。厳しい現実を、コメディというスタイルで包み、エンターテインメントに落とし込むのも私の仕事だと思っています」と、困難な社会問題を多くの人に知ってもらうため、あえてコメディを選択したと語った。

本作に登場するホームレスは、みな女性である。これについて問われると、「原案も女性だったということがあります。キャスティングは当初300人をオーディションして100人に絞りました。その上で、実際に映画に登場するアトリアに入ってもらい、最終的に15人に絞ったんです。一部には実際にホームレスだったことのある人たちもいます。劇中に登場する元受刑者のシャンタルは、夫に暴力を振るわれて、抵抗する中で不運にも夫を殺してしまった女性ですが、その話を聞いた時は本当に驚きました」と、現実と映画が分かち難く結びついていることを語った。

最後に監督は、「人生においてアクシデントは誰にでも起こりうると思います。近しい人を亡くしたり、失業したり、離婚するといったこともあります。最後のシーンは、そんな彼女たちが、友人やソーシャルワーカーたちの奮闘で、自分自身に誇りを取り戻すシーンです。毎回このシーンを観客のみなさんと一緒に見るのを楽しみにしているのです」と語り、このフランス映画祭で作品を上映できる喜びを、大勢の観客と分かち合っていた。
 

社会の片隅で

Instagramスポットにて

 
社会の片隅で

作品ページにサインを